研究(Research)
研究の焦点(Research Focus)
ミッション
行動デザイン研究室(2020年設立)は、人間の相互作用を理解し、多様性が「障害」とみなされない社会を実装することを目指します。行動分析学(ABA)を基盤に、シングルケース実験デザインと心理学実験で行動を系統的に検討します。社会的相互作用を記述・予測・変容するため、コンピュータビジョン、ウェアラブル、ソーシャルロボット、モーションキャプチャ、スマート衣服などの技術を統合し、学際連携と現場実装を通じて包摂的な環境を形にします。得られた実証知を実用的ソリューションへと橋渡しすることがゴールです。
1) ASD支援における行動デザイン(情報技術 × 心理技術)
ASD児の社会的困難に焦点を当て、評価と介入が一体となった行動支援システムを開発・検証しています。情報科学と心理学の知見を統合し、低負担で現場に導入しやすい仕組みを志向します。
主なトピック
- 音響分析による随伴模倣メカニズムの検討
- ウェアラブル・フィードバックによる社会的関与の促進
- 加速度センサによる自傷行動の定量測定
- 行動観察アプリを用いた遠隔型保護者支援
- 特別支援教室の社会的相互作用のコンピュータビジョン解析
- 視線可視化インタフェースによる社会的コミュニケーション評価
- ペア型ロボットによる社会的遊びの促進
- ウェアラブルによる対面行動の記録・拡張
- スマート衣服を用いた睡眠時HRVモニタリング
- モーションキャプチャによる療育場面の対人距離モデル化
2) 対人的会話のデザイン
実社会のさまざまな文脈における二者間の会話を対象に、相互作用の質を左右する要因を特定し、効果的で適応的なコミュニケーションの型をデザインします。
主なトピック
- 1on1に対する上司向けトレーニングの効果
- 場面緘黙の経験を持つ人における顔の可視性と反応行動
- 模擬面接に対する行動スキルトレーニング(BST)の有効性
- フィードバック受容スキルを標的としたBST
- ビデオ会議における顔の可視性が課題従事に与える影響
- 注視が他者の接近・回避行動に果たす弁別機能
3) 言語行動のデザイン:理論・学習・日常使用の統合
スキナーの言語行動理論に基づき、言語が新たな刺激機能を獲得・般化するプロセスを明らかにします。効率的な学習手続きから、日常場面での長期的使用までを一貫して扱います。
主なトピック
- 外国語語彙学習における未訓練刺激関係の獲得条件の比較
- リハーサル/発話抑制が言語学習に及ぼす影響
- ESMによる日常的ウェルビーイングの予測因子の抽出
- EBI(等価性ベース指導)による統計的仮説検定の学習支援
- IRAPを用いたジェンダー・ステレオタイプの検討
- 性的指向回避態度尺度日本語版の開発
キーワード:応用行動分析学(ABA)/シングルケースデザイン/心理学実験/コンピュータビジョン/ウェアラブル・スマート衣服/ソーシャルロボット/モーションキャプチャ/保護者支援/インクルーシブデザイン/実環境研究